【足底への刺激と体のバランスの関係】
二本足の人間がグラグラせずにまっすぐに立っているためには、体のバランス能力が要求されるのはご存知の通りです。
では、体のバランスってどこでとっているのでしょう?
体幹?頭?体全体?いえいえ、実は立位バランスの基本となるのが、足底(そくてい)と呼ばれるところ、つまり足の裏です。

足の裏にはメカノレセプターと呼ばれる部分があります。これは感覚受容器と呼ばれるもので、足の裏だけでなく、体の色々な場所(関節など)にあります。
足の裏では、親指(第一指)、足の指の付け根の辺り(盛り上がっているところ)、踵などに多く存在します。

バランスをとって立っている時、体には次のような反応があります。
足の裏にたくさんあるメカノレセプターという名のセンサーが、「どの位置に体重がかかっているか」、「まっすぐ体重がかかっているのか」、「どちらかへ傾いているのか」などを感じ取ります。その刺激は神経を通じて、脳へと伝達されます。脳では目や三半規管などから入った情報とメカノレセプターから送られてきた情報などを複合的に解析します。そして体がまっすぐになるように(あるいは転倒しないように)体の各筋肉に司令を出し、バランスをとります。

メカノレセプターは、使わなければその機能はどんどん低下します。例えば骨折して長い間足ギプスを巻いていた人は、メカノレセプターの機能が低下してしまっているために、ギプスが外れてすぐの頃は歩くとバランスを崩すということがよくあります。また高齢者などでは、メカノレセプターの機能が低下し、そのため立位バランスをとることが難しくなった結果転びやすくなり、転倒事故につながるということがよくあります。

そしてこの転倒は、高齢者だけの問題ではなく子どもたちの間でも広がってきているようです。「何もないところで転ぶ」、「一度つまずくと、そこから体を体勢を立て直すことができず、そのまま倒れてしまう」、さらには、「転倒しても手が出ずに、顔や歯を強打して怪我をする」などの現象もよく耳にします。

【メカノレセプターはどうすれば活性化するのか】
メカノレセプターを活性化する簡単な方法があります。
それは足の指を使うことです。または足底への刺激をしっかりと入れることです。これだけでメカノレセプターは活性化します。意識して使うようにすれば、比較的早期に改善が期待できるのです。

では足の指を使うこと、と言って思いつくことはなんでしょう。一番簡単なのは、裸足で過ごすことです。もともと日本の文化としては、裸足もしくは足袋を履き、履物は草履や下駄などを主としていました。それが「西洋文化の輸入」によって、裸足ではなく靴下を履き、草履ではなく靴を履くという生活になってきました。
それでも昭和の頃の子どもたちは裸足で駆けまわることも多かったとおもいますが、平成の時代、外で裸足で遊んでいるという子どもは見かけなくなりました。もちろん遊び場が土からアスファルトへ変わってしまったことも要因の一つでしょうし、また保護者の方が「裸足だと破傷風になっても困るし、砂場には犬のフンがあったりして不衛生だから」という理由であまり裸足にさせないように注意しているということも大きな要因でしょう。

子どものバランス能力の発達にとって裸足で過ごすことは、とても効果的です。ですからせめて家の中だけでも裸足で過ごすようにさせたいものです。

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